水の音色がなぜ、脳や体に影響を与えるのか、そのお話をするには、音のしくみを開設する必要があります。世の中の音には、自然音と人工音のふたつがあります。川のせせらぎ、鳥や虫の鳴き声、木々のさざめく音など、自然が生み出した音が自然音。対してモーター音や車のエンジン音など、近代文明の発達によって人工的につくられた音が人工音です。眼に見えないので、あまり実感はありませんが、これらすべての音の正体は、空気などを通して伝わってくる“振動”。音波とも言われるように、この振動は波として表されます。そして、1秒間に何回波打っているかを表したものが周波数で、これが音の高さを意味しヘルツという単位で測られるのです。周波数の数値が少ない低い音を低周波、逆に周波数の数値が多い高い音を高周波といい、人の耳に聞こえるのは、20〜2万ヘルツ。通常では6000ヘルツ以上を高周波、人の耳には聞こえない2万ヘルツを超えるものを超高周波といいます。高周波や超高周波は、自然音に多く含まれ、反対に低周波は、人工音に多く含まれています。
自然音と人工音を聞き比べた時に、川の流れる音や鳥のさえずりなどの自然音は心地よく感じるけれど、機械のモーター音などの人工音には、イライラしたり、不快感や圧迫感を覚える人が多くいます。これは、自然音が、たくさんの高周波や超高周波が重なって響き合っている繊細で豊かな音なのに対し、人工音は、そのほとんどが低周波でできた、とても単調でおおざっぱな音だからなのです。